巻頭言
まだまだ暑い日々が続きますが、いよいよ二学期が始まりました。
お子さん達の元気な姿を拝見することができて、とても嬉しいです。
お子さん方は少しの間会わないうちに、身体が一回り大きくなったり身長が伸びてびっくりさせられます。
この時期は身体も成長しますが、心が大きく成長しますので、これからの保育がとても楽しみです。
二学期は過ごしやすい気候の上、行事が多くてとても充実した学期です。
運動会の練習も本格的に始まります。
今年度は行事を全体で行うことができていますので、皆さんでお子さんの成長をお楽しみいただけたらと思っています。
新聞に次のような相談が載っていました。
「家が貧しくて、子ども達を遊園地などに連れていってあげられず、可哀想な思いをさせてしまっていて、とても辛い」と。
回答者は、あるアンケートを引用しました。
それは両親との思い出で、何が一番懐かしいか、というアンケートでした。
そこには手をつないで歩いたこと、肩車してもらったこと、一緒にお買い物をしたこと等、日常のささいな思い出ばかりで、遊園地と答えた人はいませんでした。
だから、小さな思い出をいっしょに沢山作れれば、子供は十分幸せなのでしょう、と答えています。
私もそうだなぁ、と思います。
私にとっても両親との暖かい思い出は、夕ご飯の思い出です。
にぎやかな晩ご飯。
それと、会社から帰宅した父は、いつも小さなお菓子のお土産を買ってきてくれました。
それが兄弟とても楽しみでした。
私は自分の子供とはできるだけお散歩をしました。
帰宅が遅くなってお散歩ができないと、子供は「お散歩、お散歩」とせがみました。
私の指をしっかりと握ってトコトコ歩いたお散歩。
ただ、他愛もないおしゃべりをしながら歩いただけですが、不思議と暖かな思い出となっています。
今は三十歳前後の子供達には、どういう記憶になっているのでしょうか。
小さな思い出つくりには、お金をかける必要はなさそうです。
ただ、少しの時間と手間と、思いやりが必要なのでしょう。
コラム
ある方の書かれた記事です。大切な事ですので、読んでみてください。
(親ばかでなければならない理由)
三つ子の魂百までということわざがあるように、ほぼ3歳の幼児期までにあらゆる発達や、多くの体質が決まってきます。
私は今までに世界の先住民や伝統社会を見てまわりましたが、モンゴル遊牧民、タンザニアの狩猟採集民ハッザ族、マサイ族、ダドガ族、ニューギニアのダニ族、モニ族、ヤリ族、センタニ族、どの民族を見ても、子どもを持つ親は、ほぼ「親ばか」でした。
ここで言う「親ばか」とは、自分の子どもを認め、たっぷりの愛情でばかのようにかわいがることです。
かわいがるだけではなく、その子のことを誰よりも褒め、認めてあげるのです。
他人が見ればそんなにかわいくなくても、その子の親が自分の子を一番だと思うだけでいいのです。
それが子どもに伝わることが重要です。
彼らは頻繁な抱っこやおんぶ、そして添い寝やスキンシップを密にしています。
ところが、アメリカで数十年前に出版された『スポック博士の育児書』では子ど もは放って育てる、親から隔離するなどという子育て法が流行し、これにて一挙に子育てが崩れていったという声もあります。
ヒトでも動物実験でもこうした母子分離実験は今までに結構されていますが、ほとんどが良い結果をもたらしていないようです。
基本的に、どの哺乳類でもスキンシップによる皮膚への刺激がないと生きていけないようです。
皮膚刺激によって、循環器系、泌尿器、免疫系、神経系、呼吸器官、胃や腸の消化器官をすべて刺激します。
このときオキシトシン(幸せホルモンと言われています)が分泌されます。
生まれる前の赤ちゃんは、体温と同じ温かい羊水と、お母さんの子宮の壁にべったりすることで皮膚感覚を刺激しているといわれています。
オキシトシンが分泌されやすくなる体質は幼児期に決まると言われています。
腸内細菌のバランスもだいたい幼児期に決まってくると言われていますね。
正常なオキシトシンやセロトニン(こちらも幸せホルモン)が出やすい体質になれば、ストレスにも強く(ストレスと感じないポジティブさ)、健康で優しい子どもに育つのです。
一般では当然のように赤ちゃんや幼児はよく泣くものと考えがちですが、私が伝統社会で見たものは、赤ちゃんは無駄には泣かなかったことです。
お腹が空いている、何か異常を感じているというようなときに初めて泣きます。
また、奇声を上げることもなければ、落ち着きのないこともほとんどありませんでした。
「親ばか」は子どもの才能を引きだし、子どもを強く優しい子に育てます。
私たち哺乳類はいつまでも親ばかでありたいものです。